TSZCシリーズを精度よく動作させるためには

このページの対象のお客様
・TSZCを外観検査装置などで使用するお客様
・TSZCを精度よく動作させたいお客様
注意事項
・組み合わせるレンズによっては以下の内容と異なる結果が生じる場合もあります。
その際には、実際の動作を重視してプログラミングしていただけると幸いです。
TSZCシリーズをお買い求めいただきありがとうございます。
TSZCシリーズを精度良く動かすためのノウハウを一部公開いたしますので
ご参考いただけると幸いです。
はじめに
TSZCシリーズはTSZC-05以降のモデルから、moveコマンドを使用して
任意位置への移動が可能となっていますが、若干のずれが生じます。
これは、レンズ内のギヤのバックラッシュや、イナーシャが影響しています。
mv_thdコマンドにて、ズレの許容量を調整することが可能ですが、
実際に操作した後に、read_aコマンドなどで位置情報を取得した際に
mv_thdで指定した閾値以上のずれが生じる場合があります。
弊社では、自社製外観検査装置の多品種に対応したシステム用として
このTSZCシリーズを10年以上使用しています。
そこで得られた、ずれを極力小さくする手法をご紹介いたします。
どんな時にずれが生じるか ~ その対策方法 ~
~垂直設置での使用~
ずれが一番生じやすいのは、レンズを垂直設置されているお客様です。
これは、レンズ内ギヤのバックラッシュが主な原因です。
フォーカス・ズームはレンズ自体が移動しますので、
確実に重力の影響を受けます。
レンズを移動させる場合、弊社では以下のルールを定めて運用しています。
1.レンズの移動は一方通行
レンズを目的位置にセットさせる場合、必ず下から上へ移動させます。
例
条件:レンズを下向きにセット
ズーム値0が下側、ズーム値1000が上側の場合
ズーム値:500にセットされているレンズを、ズーム値300にする場合
1.一旦レンズ位置を、300-50=250 ズーム値250にセットします。
(50の値は、弊社での社内値です。20~50が最適と考えます。)
2.一旦read_aなどのコマンドで現状の値を取得します。
(特に必要ありませんが、ワンテンポ待機したほうが良好な結果が得られます。)
3.目的とするズーム値300へmoveコマンドでセットします。
2.移動速度の最適化
レンズ型番によって、移動速度が異なります。
レンズが移動する最小の速度値+5程度の速度を設定することによって
レンズが移動しすぎる等の無駄な動作を軽減することが可能です。
(mv_spdコマンド)
~高速移動を行う場合~
レンズを高速移動させたいお客様も、ずれが生じる可能性があります。
これはズーム・フォーカス機構部のイナーシャによる場合があります。
弊社では以下の方法で対応しています。
レンズの移動を2段階にし、移動速度を切り替える
レンズを移動させる際に、高速移動と低速移動に移動を分割します。
例
1.目標値から20程度手前まではmv_spdコマンドの値を大きくとって高速移動させます。
2.高速移動終了後、mv_spdの値を小さくし、移動速度を遅くします。
3.目標値へmoveコマンドで移動させます。
まとめ
TSZCシリーズが動作させているズームレンズは、重力や慣性の影響を受ける場合があります。
その点を踏まえて頂いてプログラミングしていただけると、精度よく動作させることが可能
です。